朝田武史著 「祝人伝」(山梨日日新聞社)

2013年1月9日

1か月で3億円稼ぐ (2)

朝田武史著

「祝人伝」(山梨日日新聞社)

2012年6月30日 第一刷発行、定価857円

 

 

第二十回、やまなし文学賞受賞作品である。著者は「文学カフェ」の飲み会のメンバーです。内容は純文学で、受賞作だけあって、文章も内容も、素晴らしいです。朝田さんは、幻想小説やミステリー、児童ファンタジーなど、さまざまなジャンルに筆を広げておられます。

「物書きは、引き出しがいくつもあったほうがいい。文体も違います」ということで、実際、これまで読ませていただいた作品とは、文体が違うのです。

 

 

「シロガネさんを拾ってきた。二、三日経ってそういうことらしいと気づいた。」

 

こんな 不思議な書き出しで、一気に読者を作品世界に引きずり込んでいくのです。受賞の言葉として、「結局、自身の醜悪と向き合わなければ、自分だけの小説世界は 生まれない、と思い至りました。本作は私小説ではありません。しかし主要な三人の登場人物は、私自身の内奥を投影していて、三人ともが私です。」と、書い ておられます。

 

 

物語は、三十代の主人公の住まいに無職の五十一歳の男が転がり込んできて、その連れの女性もやってきて、共同生活を送る、というような話です。実に面白いですよ。時間が経ってしまいましたが、改めて受賞おめでとうございます。

 
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