苫米地英人,本橋信宏著「ドクター苫米地が真犯人を追う! 11大未解決事件 」(宝島SUGOI文庫)

2019年1月13日

book・ドクター苫米地

本書は2009年12月に刊行された『「洗脳」プロファイリング』を改題・改定し、書下ろしを新たに加えて文庫化したものですが、未解決事件に関心を持つ人には興味深い内容になっています。

 

11大未解決事件とは、以下です。

 

世田谷一家4人殺人事件、亀戸女流漫画家殺人事件、ジョンベネちゃん殺人事件、葛飾柴又上智大生殺人事件、桃井望さん殺人事件、吉田有希ちゃん誘拐殺人事件、功明ちゃん誘拐殺人事件、池袋駅立教大生殺人事件、ブラックマンさんバラバラ殺人事件、井の頭公園バラバラ殺人事件、八王子スーパー殺人事件。

 

有名な未解決事件ばかりですね。とくに、井の頭公園バラバラ殺人事件は、異常な、猟奇的なショッキングな事件でした。未解決事件は、小説の題材にもなるし、犯人が捕まっていないのだから、興味は尽きないでしょう。

 

 

 

裏表紙に、こうあります。

【未解決事件の真犯人を追え!闇に消えた犯人の哄笑に立ち向かい、殺人事件現場に立った認知科学者・苫米地英人博士! オウムの凶悪な洗脳を解除してきた苫米地博士は、最先端のホメオスタシス同調効果による犯罪プロファイリングを遂に解禁した! 犯罪現場の捜査で陥るスコトーマとは何か。情報空間にアクセスするプロファイリングとは何か?博士と畏友の書き手・本橋信宏が迷宮入り事件の真相に迫る!】

 

 

筆者は、仮想通貨絡みの資料を調べている時に、ドクター苫米地氏の存在を知り、以来、注目しています。たくさんの著作がありますし、一方の本橋氏も多くの本を書かかれている作家です。

 

この書籍は、実在の未解決事件について、ドクター苫米地氏がプロファイリングを行い、事件の真相に迫るという内容になっています。現場に赴き、臨場感を高め、犯人になりきるという手順でプロファイリングを行っているので、臨場感を共有できます。胡散臭いという意見もありますが、筆者は決してそうは思いませんでした。推理小説的な要素もあります。

 

ドクター苫米地こと苫米地英人は、1959年、東京生まれ。日本の認知科学者。カーネギーメロン大学博士兼Cylabフェロー。株式会社ドクター苫米地ワークス代表。コグニティブリサーチラボ株式会社CEO。角川春樹事務所顧問。中国南開大学客座教授。米国公益法人The Better World Foundation日本代表など。

 

 

さて、本書は苫米地流プロファイリングで、事件の真相に迫っています。ホメオスタシス同調効果による犯罪プロファイリングということですが、これは一体何でしょうか。

 

少し長いですが、本文から引用しておきます。

【現場に立って一瞬、悟りの世界に行くわけです。そうすると全部見えてくる。捜査側の視点が何もかもわかるし、犯人の視点もわかる。犯人の行動がわかるということは見えるものが決まったということ。世田谷一家4人殺人事件では、私が現場に立ったとき、風呂場の鍵が外れているのが見えました。そこから現場の情報が入って来たときに、犯人が見たものが全部見えてきます。窓をよじ登った可能性。そこに立っていたであろう若者の心理。~~~(中略)プロファイリングで犯人が絞り込まれてくると、犯人だけしか見えてこないものが見えてくるわけです。】

 

 

【つまりホメオスタシス同調効果によるプロファイリングは、その人の認識を作り上げること。その人の自我を作ることなのです。犯人の見たものが決まってくると、その瞬間に犯人の自我が形成されてくる。犯人がその自我で見ているであろうことが私に見えてくる。~~~(中略)多くの刑事は抽象度が高くない。足で稼ぐなんて言っている刑事は抽象度が低い、ダメな刑事です。過去と同じプロファイリングをやっているので、いまのようにいろいろな心理的要因の異常犯罪が起きると機能しなくなります。刑事は自我をますます強めてしまって経験則に頼りすぎて現場に立ってしまう。刑事の想像もつかないような人格、価値判断をもっている犯罪者が続々と登場しているから、未解決事件が増えるのです】

 

 

未解決事件なので、犯人を特定しているわけではありません。もっとも、ジョンベネちゃん事件については、こう言っています。

「ジョンベネちゃん事件の真相は私の中ではほぼ100%推論がついています。母親のインタビューを見れば、明らかにこの女性が事件に体感的なかかわり方をしているのがわかります。複数の表情。目と顔の筋肉の動き。私がやりました、と本当にわかる人が見たらわかってしまう顔の筋肉と眼球の動きをしているのです。FBI関係者は、彼女が犯人だとわかっている人が多いはずです。動機は嫉妬からきている。言うことをきかないから折檻したのです。」

そして父親とセットになっているとも……。

読み物として最後まで一気に読ませます。未解決事件に興味のある人には、おもしろい読み物でしょう。(北代)

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