黒川伊保子編著「妻のトリセツ」(講談社+α新書)

2019年7月2日

黒川伊保子編著「妻のトリセツ」(講談社+α新書)

妻のトリセツ

随分と売れているので、買って読んでみました。『妻のトリセツ』です。〝目からウロコ〟の夫婦コミュニケーション論とあるけど、正直な話、女性脳を理解するのにはかなり参考になりました。本書は、脳科学の立場から女性脳の仕組みを前提に妻の不機嫌や怒りの理由を解説し、夫側からの対策をまとめた、妻の取扱説明書です。

男性脳は物事を解決しようとするのに対し、女性脳は常に共感を求めている。この女性脳の仕組みを理解しないといけませんね。

 女性脳は、体験記憶に感情の見出しをつけて収納しているので、一つの出来事をトリガーにして、その見出しをフックに何十年もの類似記憶を一気に展開する能力がある。つまり、夫が無神経な発言をしたら、「無神経」という見出しがついた過去の発言の数々が、生々しい臨場感を伴って脳裏に蘇ることになる。だから、「つわりがひどくてふらふらだった私に、あなたなんて言ったか覚えてる?」と涙ながらに訴える、そのときのおなかの子がすでに30代、なんてことはざらにある。実に理不尽極まりない。

 

会話の主たる目的が問題解決である男性脳。女性脳の、最も大きな特徴は、共感欲求が非常に高いことである。

女性脳は、半径3メートル以内を舐めつくすように、〝感じ〟て、無意識のうちに支配している。

「どうせ私のことなんて……」と、ある日妻がつぶやいたら、それは「私はあなたに大切にされていない」という意味である。「私のやっていることに関心もないし、感謝の気持ちもないよね」という意味でもある。

(本文から抜粋)

 

新書なので、簡単に読了できるが、確かにいろんな〝気づき〟がありました。最も大きな気づきは、男性脳と女性脳の違い。女性が男性に悩みを相談するのも、問題解決を望んでいるのではなく、ひたすら共感して欲しいから。

 

例えば、筆者も経験があるけど、「最近、胃の調子がおかしい」と妻が言えば、夫は「気になるんだったら病院に行ったら」と、問題解決のアドバイスをする。ところが、これがダメなのです。妻が求めているのは共感だから、「胃の調子が悪いと、美味しい物が食べられなくなるね。どう調子が悪いの?」と、共感してやることが大事ということ。女性脳が共感を求める脳だというのは、目からウロコでした。いや、ほんと。

本当にいい夫の条件とは?これについても、著者の考えは的を射てますね。

 ~~科学的に「いい夫」とは、時に妻の雷に打たれてくれる夫のことだからだ。女性脳は、家事と育児を片付けるため、生活の中で、あらゆる気づきとタスクを多重させて走らせている。このため、日々をただ生きているだけでストレスがたまる脳なのだ。さらに周産期から子育て中の女性は、ホルモンバランスが激変していくので、生体ストレスが半端ない。女性たちは、ときどき、このたまったストレスを〝放電〟する先を探しているのである。そんなとき、まんまと夫が何か気に障ることをしてくれると、気持ちよーく放電できる。(中略)そう、女は、本当のところ、かなり理不尽なのである。

 

そう、理不尽だなあ、と筆者も思いますねえ。

本書がおもしろかったので、『定年夫婦のトリセツ』(SB新書)も読んでみました。こちらも、「コワい妻、ポンコツ夫の処方箋」が紹介されています。参考になりますよ。(北代)

 

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