『殺人鬼フジコの衝動』(徳間文庫)/真梨幸子

2015年2月3日

殺人鬼フジコ

最近、最もハマっている作家が、真梨幸子です。最初に読んだのが、『殺人鬼フジコの衝動』(徳間文庫、752円)で、すっかり魅了されてしまいました。当方の好きな世界が、そのまま描かれていたからです。

知らない人のために、作者紹介を。

真梨幸子(まりゆきこ)。1964年宮崎県生まれ。『孤虫症』で第32回メフィスト賞を受賞し、デビュー。ホラー、ミステリの手法を使いながらも人間心理の襞に分けいる著者独自の作風は、多くの評論家から熱い注目を集めている(著者プロフィールから引用)。

さて、殺人鬼フジコの衝動です。
本書は、わかりやすく言うと、主人公フジコが少なくとも15人もの老若男女を惨殺した物語です。

それをある人物が、一人称と三人称を織り交ぜながら綴った「記録小説」という形になっています。

フ ジコとは、何者かに両親と妹を殺害され、自らも殺されかけた女です。そして幸せになりたいと、どんどん願うわけですが、その過程で、邪魔者はすべて殺して しまうのです。ただ、殺害に至る心理が、理解できるようになっているし、そのあたりの心理描写が、この作家のスゴイところです。

出だしは、少々官能的というか、いやらしい雰囲気が満載だし、それでいて突飛もない世界が描かれています。まさにツカミはOKで、どんどん先を読みたくなるように仕掛けられている。

この作家は実におもしろい!

 

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